2025.03.06
本の内容について、少しずつ触れてきました。
あまりしつこいと、よほど売りたいのかなと思われてしまう、と思っていたのですが、「大事なことなので一度しか言いませんよ、という人よりも、何度でも繰り返し言います、という人の方が信用できる」という記事をFACEBOOKで見ました。勇気をもらってもう少し話します。
本当に売りたいのなら、あまり内容を話さないほうが本来いいはずですものね。私は本にして出すほど、もともとしつこい人間もありますし(笑)。
前回も書きましたが、当クリニックで発見される乳がんの内約半数は定期的に検診されていて、我々が「今回は異常がみとめられます」と言って発見します。もちろんその場合はほぼ早期で発見されます。最終的にがんである診断には医師による病理検査が必要なので、全ての乳がん症例がわれわれによって診断が決定しているのは確かです。ただ残りの半数の方は「先生、なにか硬いしこりがあるんです。痛くもかゆくもないんですが…」といって来院され、われわれが検査をして、乳がんの診断がつきます。この場合、発見したのは我々ではなく、やはりご自身です。そして現状ではほぼすべての施設で発見されている乳がん症例のほぼ半分は、残念ながら検診ではなくこうして自分で発見されたものなのです。
ただ当然ですがそうして発見された乳がん症例では原則早期がんから、残念ながら末期で発見されるものまですべてが含まれることになります。それはご自身がどれだけ注意して自己チェックしていたか、そして発見してどれくらいの期間経過を見ていたか、に左右されます。
注意して定期的にきちんと自己チェックしていた方ほど、より小さく、早期で発見されます。
逆に普段全く意識をしておらず、入浴時や下着をつけていて偶然気付きました、という方であれば残念ながら早期がんではない確率が上昇します。まして、別に痛くもかゆくもないので、という理由で放置され、数か月経過を見ていて大きくなってきたので慌てて受診した、そういった乳がんでは残念ながら早期で収まっていることは期待できないでしょう。
私は2年に1度 クーポンできちんとマンモグラフィで検診を受けています!
たしかにそれは大切だし、早期発見につながります。けれども2年に1回しか検診をしていない、とも言えます。きちんと日を決めて、正しいやり方で自己チェックをしています、と言われる方は毎月検診をしています。
もちろん両方をされているのが最善です。
単純な比較はできませんが、検診に携わっている人間である私にとって、この2つの乳がん検診を比較し、どちらかを選べ、と言われれば後者の方が優れています。
2年に1度の検診は、もしその年に住み慣れない土地に引っ越したりして、受ける機会を逸してしまえば4年開いてしまいます。万が一そこで乳がんが発生すればまず早期発見などできないでしょう。
しかし毎月自己チェックを習慣にされている方ではそれがない。入浴を4年もしない方はいないと思われるからです。もちろんたとえ入浴できなくても自己チェックはできます。どこでもいつでもできるからです。どんなに仕事が忙しくても、育児が大変でも、妊娠されていても、高齢で動けなくても、医療施設のない島や田舎住まいの方でも、災害にあわれて避難生活を余儀なくされておられる方でも思い出しさえすればできるからです。もちろん1円たりとかかりません。それでいて早期に発見された場合の治療にかかる経済効果は計り知れません。
習慣にしてしまえばこれほど頼りになる検診はないのです。また自分でチェックできるのがほかのがんにはない乳がんだけの強みでもあります。
上の表は 日本の女性のがんによる死亡原因を年齢階級別にみたものです。
日本人女性のがんによる死亡原因で一番多いのは大腸がんであることはよく知られていますが、それは全体で高齢者を含めてみたときにそうなります。少なくとも30歳から70歳までの比較的若い女性で見たときには、死因の第1位は乳がんになります。
子宮頸がんは若い女性、特に20台30台では脅威です。しかしそれでも乳腺の方が上になります。
繰り返しますが、上の表は死因であり、罹患ではありません。がんになられ、亡くなっておられる方の順位を見たものです。少なくとも30歳代では乳がんは紛れもなくもっとも恐ろしいがんなのです。
そこで考えてほしいことがあります。
20歳代、30歳代でも確実に乳がんの方はおられます。そして不幸にして発見が遅れ、亡くなっておられる方もおられる。
20歳代、30歳代の方にはクーポンは来ません。ドックもまずいかないでしょう。
職場の検診のマンモグラフィも40歳からがほとんどですよね。
ではこうした若年齢者の乳がんはどうやって見つかっているのでしょう?
そう、自分で見つけているのです。自分で触っていて気づくしかない。
たしかに検診を受ければ、人間ドックを受ければ、早期で見つかるかもしれません。ただ検診は有料です。原則保険が効きません。20歳から毎年、規則正しく、お金を払って検診を受ける。気持ちがいいものでもないマンモグラフィ検査を受ける。ご自身に照らし合わせてください。まずやらないでしょう。
ではここで質問です。
小さいころからお風呂でお母さんが乳腺の自己チェックをしているのを見ている娘さん。お風呂にビー玉を置いてお母さんがチェックしていたら、娘さんなら必ず聞くはずです。
「お母さん、なにしているの?これなあに?」
これはね、乳がんのチェックをしているのよ。
「お母さん わたしは?」
いまはいいよ。でも大きくなったら必ずするようにしてね。
そうして育てられ、生理が始まったら自己チェックを習慣づけるように母親から言われて育った娘さん。
お母さんが自己チェックはもちろん、乳がんの検診などしていない。だから娘に声掛けなどしたこともない。注意もしない。そうしたお母さんに育てられた娘さん。
この二人の娘さんが不幸にして20歳代、30歳代で乳がんに罹患してしまったとしたら、発見が遅れて不幸な結果になる可能性が高いのはどちらの娘さんでしょうか?
これは聞くまでもない。そんなの分かり切ったことです。それを裏を返すと、こうした若年性乳がんで、残念ながら早期発見できなかったとしたら、不幸な顛末になってしまったとしたら、それは”親の責任”ということもできる。検診の対象にならない若い女性に、普段から、若い時から自己チェックをするように声掛けできるのは親だけだと思います。日常生活の場面場面で気を付けるように、たとえうるさがられても、言い続けることができるのも親だけだと思います。
その気持ちはある。ただどう教えたらいいかわからない。正しい方法がわからない。
だからこの本を書きました。
この本は、母へ娘へという副題がついています。これは、母へ(このことをわかってください。貴方だけが検診していてもだめだ、貴方の娘さんは大丈夫ですか)、(あなたの)娘へ(この本の内容を教えてください。検診に行かないまでも、定期的に正しく自己チェックをするように指導してください)という内容を込めているのです。
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