このホルモン剤について考えるシリーズは、ホルモン剤という5年から10年という非常に長期にわたって飲用することが求められる薬剤について、そもそもなぜ飲まなければならないのか、なぜそんなに長期に飲む必要があるのか、私の飲んでいる、あるいは使っている注射薬剤はなぜそれでなければならないのか、を皆さんにもわかるように解説するために書きました。
たとえば5年間AI(アリミデックス、フェマーラ、アロマシン)を飲用された方がおられたとする。その時点で、主治医によってはもう5年間飲みなさい、あるいはこの時点でやめなさい、と命令形で言われるかもしれません。
ただその時もし、もう5年飲みますか? それともやめますか? と主治医が尋ねたならどうでしょう。
あるいはやめましょうと言われた際に、皆さんは、それで大丈夫ですか?と疑問に思わないですか?
そして友達はAIではなくてタモキシフェンを飲んでいると聞いています。なぜ私はAIなのですか? あるいはその逆?
疑問に思いませんか?
これ、実は非常に複雑で難しい問題なのです。
これにできるだけ答えてみようと思ってこの連載を書きました。読まれた皆さんはあまりに難しいと感じられたかもしれません。
そしてしっかり読まれた方ほど、「読めば読むほどわからなくなった」と言われるはずです。
それは、ホルモン剤の使用については一人一人の患者さんごとに個別に、またその患者さんの状況や年齢、それを加味して専門医である主治医が真剣に向き合って考えないと、簡単に結論が出るものではない、と私自身が感じているからです。医師の私がそうなのですから、それを読んだ皆さんが、私はこれだ、と一瞬で判断できるはずはないのです。
ただそうやって主治医がしっかり考えて「こうしてください」と結論づけたとしても、そしてホルモン剤を継続して飲んでいても再発される方は再発します。そして自己判断で飲むのをやめてしまった方でも再発しない方は再発しない。確率でしかないのです。
だから皆さんの不安は消えることはない。そこで専門医は何を根拠に「こうしてください」と判断しているのか、皆さんにもわかっていただけるならと思って書いています。
わかっていただけても、わからないとされても、主治医は必ず何らかの結論を出しますし、出さざるを得ません。
だからどうしても皆さんが理解しなければならないものではありません。興味があり、理解したい人が読んでいただければいいのです。気楽に読んでください。
ただ一つだけ、私は、私の患者さんには5年、10年その区切りに、「どうしますか?自分で決められますか?」と、尋ねています。読んで決められる方は自分の意見を持っていただいて、その時々に相談いただければ幸いです。
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