乳腺と向き合う日々に

本を出しました! 乳がん 自己チェックの始め方 ー母へ娘へー

日本人女性の死亡原因を見たとき、もちろん1位は悪性新生物、がんです。

30歳代女性ではあればもう悪性新生物は不慮の事故による死亡率を上回って1位です。
そしてそれを1位に押し上げているのは乳がんです。30歳から70歳まで、がんの部位別に見た日本人女性の死因の1位は乳がんです。乳がんは自己チェックで検診できる唯一のがんであると言われます。日常生活で乳がんの自己チェックを怠ることは、日常で車を運転しながら注意を怠っているよりもよほど死に直結する、と言えるでしょう。皆さんも娘さんが車に乗るようになれば運転を注意するように声掛けするのではありませんか? しかし若い女性の死因から見るならば、その何倍も乳がんに注意するよう声掛けしないといけない。がんに関心がある親世代が、関心のない娘に声掛けしないといけない、私はそう思います。

しかし特に若い女性は仕事、家事、子育てと忙しい。まさか自分が乳がんになるなどと思ってはいない。

皆さんは若い女性が乳がんに罹患すると助からない、そんなイメージがありませんか?
それは進行が速いから、ではありません。高齢の女性でもがんの進行は早い。60歳女性でも死因のトップは悪性新生物です。若い女性でも乳がんが早期発見されればがんはきちんと治ります。同じ早期がんで比べてみるならば、その治癒する確率に年齢による差はほとんどありません。若い女性の乳がんが多く致死的である理由、それは発見が遅れがちになるからです。

「日常生活の中で乳がんに注意して、自己チェックすることを習慣にしなさい。」

親なら娘にそうして欲しいですよね。しかし習慣づけほど難しいものはありません。
乳がんの自己チェック、それはどうやって教えればいいのだろう。どう教えたらしてくれるんだろう。

そしてその正しい方法ってどうやればいいんだろう。

そもそも肝心の母親がそれを知らなかったり、自身がしていなかったりします。というよりも医師や公的機関から、正式に習ったことはないのではないですか?

私は日常で乳がんの検診に従事する乳腺の専門医です。診療を通じてどう自己チェックを指導すればいいか、どうすれば皆さんが実践してくれるか、様々に工夫しながら何年も模索してきました。そして、これで最善ではないか、という指導方法を確立しました。今 1日に200人近くが検診に来てくださっている当クリニックで実際に行っている指導内容を詳細にまとめたもの、それがこの本になります。

isbn978-4-910135-12-0-a (1)

実はこの本には サイズにこだわって選んだビー玉が2個付属しています。

そうです。このビー玉が私たちが行なっている指導方法の鍵になります。

外来診療で様々な女性に自己チェックを勧めて行く中で、大きな問題点が二つあることに気づきました。

一つは習慣づけの難しさです。例えば歯磨きは医者が年に1回程度教えても身につきません。虫歯になって痛い目にあってだんだん身につく。それではガンの場合では遅いですよね。

朝起きたら顔を洗うように、寝る前に歯を磨くように、規則正しく、定期的に乳腺の自己チェックをする習慣を持っている、そんな娘さんになってほしくないですか?
しかし 習慣づけには親から娘への根気強い指導がなされる必要があります。できれば幼少期から、母親が自己チェックをしている姿を見せてほしい。そしてそれを年頃になったら指導してほしい。そうしなければなかなか習慣づけはできない。これは娘を持っておられる方にその話をすればすぐに理解していただけます。

こうして自己チェックを親子で始めるモチベーションが生まれたとして、最大の問題は、親がしたことのないものをどうやって子供に教えるのか、です。具体的な方法論が親にないのです。それが二つ目の問題であり、最大のものです。

そこでこの本が必要になりました。

この本には1.7cmのビー玉が2個付属しています。(もちろん本を買わなくても、同じサイズのビー玉を買っていただければ、とりあえず始められます。そして始めてください。)

これ、触診で気づいて欲しいギリギリ早期ガンで収まるサイズになります。つまり上限です。
今ほとんどの方が乳腺のしこりが危ないサインであることは知っています。時々自分でチェックしている方も多い。でもサイズを意識していません。検診だから早期で発見できなければ意味がない。だからこれ以上大きくなる前に病院に行かないといけない、それを触感として、手が認識している必要があります。

このビー玉を使って早期発見のために必要なサイズを触感で自覚してもらう。
そしてそのビー玉を、できればそのまま家族で使うお風呂場に置いてもらっています。そうすれば家族みんなの目に止まり、意識をするようになります。お互いに声掛けも行われるし、何より娘がいたなら家族みんなで指導することになります。こうして習慣づけがより容易になります。

試行錯誤するうち、こう指導すれば、自己チェックを始めて、そして継続してもらえる、と確信した現状での到達点です。これはそれを本にまとめたものになります。ビー玉法と呼んでいます。

マンモグラフィ検診をうけておられる女性でも自己チェックはされていなかったりします。そしてその対象年齢ではない娘さんを心配されていたりします。高齢になってマンモグラフィ検診を受けておられない母親を心配されていたりします。そうした娘に、母親に、全ての女性に自己チェックをするよう勧めていただくためにこの本はあります。ぜひ手に取って読んでみてください。そして今日から乳腺の自己チェックを実践してください。

この本は 現在Amazonや、書店では手に入りません。
下記 翔雲社から手に入りますので、良かったらご購入ください。

本紹介:https://www.shounsha.co.jp/list/isbn/isbn978-4-910135-12-0.html
Shop: https://shounsha.stores.jp/items/67a9711dadce6619361be983
定価1,650円(本体1,500円+税)