2025.10.24
運営委員会は、各疾患群に関する専門知識と経験(過去の学術論文やアメリカ乳腺外科学会委員会での活動実績など)を有する専門家を選出し、それぞれの分野に対応するエキスパートパネルを編成しました。
各パネルには、乳腺画像学会からの代表者も含まれています。
これらの専門家は、文献レビューに積極的に参加し、運営委員会およびコンサルタントの監督のもと、4つの乳腺良性疾患の領域(前回お示しさせていただいた表を参照ください)間で一貫性を保ちながら初期ガイドライン文案を作成しました。
ガイドライン策定は、まず文献の系統的レビューから始まり、文献要約表として整理されました。
その後、前述の臨床質問に基づき、初期のガイドライン文案が作成されました。
最終的なガイドライン文(Table 1・2)および診療アルゴリズム(Figure 1・2)**は、エキスパートパネル、SG、そしてコンセンサスパネルによって承認されました。
ガイドライン作成に関与したすべてのメンバーは、ASBrSの利益相反(COI)開示書を提出し、学会の利益相反方針に従うことに同意しました。
| 項目 | 合意レベル |
|---|---|
1. 一般的コメント(General overall comments) | |
| 1a. 手術で間質異型(stromal atypia)を伴う線維腺腫(FA)と診断された患者には、生涯にわたる乳がんリスクが上昇していないことを説明すべきである。他の乳がんリスク因子を除けば、薬剤による予防や高リスクであるとするカウンセリングは不要である。 | 強い合意 |
| 1b. 細胞型・複合型・若年型のFAは、標準的なFAと同様に管理すべきであり、推奨は変わらない。 | 強い合意 |
| 1c. 妊娠中または将来的に妊娠を希望する女性でFAが診断された場合、典型的なFAとして管理すべきである。ただし、持続的または急速な増大がある場合は再評価および再生検が望ましい。 | 強い合意 |
2.経皮的治療 | |
| 2a. 症候性で(何らかの症状があって)、生検により診断されたFAに対しては、腫瘤径が2.0cm未満であれば凍結療法(cryoablation)を検討してよい。施術者は十分な超音波技術と凍結治療の経験を有することが前提。 | 合意 |
| 2b. 同様に、2.0cm未満の症候性FAに対しては吸引式生検装置による切除(vacuum-assisted excision)も検討可能である。施術者が十分な技術と経験を有する場合に限り、術後に完全切除を画像で確認すべき。 | 合意 |
3. 画像診断 | |
| 3a. 組織的な生検で確定したFAでは、追加の画像検査は不要。年齢に応じた通常の検診を行えばよい。 | 強い合意 |
4. 外科的切除の適応 | |
| 4a. 生検で確定した一致例のFAに対して定型的切除は推奨されない。 | 強い合意 |
| 4b. 患者の希望または症状に基づいて切除を検討してよい。 | 合意 |
| 4c. 臨床的に明らかな増大がある場合は切除すべきである。 | 合意 |
| 4d. 腫瘤径が4〜6cmを超える場合は切除すべきである。 | 強い合意 |
4e. 画像診断医により「不一致(discordant)」と判断されたFAは切除すべきである。 | 強い合意 |
| 4f. 内在性または隣接する異型(atypia)を伴うFAは切除すべきである。 | 該当なし(NA) |
| 4g. 両側多発で画像上良性と判断されるFAは通常、切除を要しない。 | 強い合意 |
5. 手術手技 | |
| 5a. 生検確定FAを切除する場合、切断(transection)や細断(morcellation)を避け、完全摘出を行うことが推奨される。 | 強い合意 |
| 5b. 切除法の局在化(localization)に関しては、特定の方法が他より優れているとは限らない。 | 強い合意 |
| 5c. 切開部位は整容性、授乳機能、乳頭皮膚感覚を考慮して決定すべきである。 | 強い合意 |
| 5d. 切除時は、腫瘤被膜を確認するまで触診を継続し、過剰切除や変形を避けるべきである。 | 強い合意 |
| 5e. 小児例では乳腺芽および乳頭・乳輪複合体を温存し、損傷を避けるべきである。 | 強い合意 |
6. 非手術的管理 | |
| 6a. FAに対して推奨される薬物療法は現在存在しない。 | 強い合意 |
7. フォローアップ | |
| 7a. 生検で確定した一致例FAでは、追加の画像フォローは不要であり、通常の年齢別検診に戻ってよい。 | 強い合意 |
| 7b. 生検確定FAが増大傾向を示すか、4〜6cmに達した場合は再診して切除を検討する。 | 強い合意 |
| 7c. 両側多発で画像上良性と判断されるFAでは、追加フォローアップ不要。通常の年齢別検診を継続。 | 強い合意 |
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