このブログを読まれている方は乳腺には個人差があり、同じようにマンモグラフィで検診を受けられたとしても、その乳腺の”濃度”の違いによって乳がんを発見する”しやすさ”に差があることをご存じだと思います。(高濃度乳腺とは ーAre You Dense?ー)
また同じようにご家族の血縁者、母親や、娘、叔母などに乳がん患者さんがおられる方では遺伝的な要素によってそれ以外の方よりも乳がんに罹患されるリスクが高いこともまたご存じだと思います。(遺伝性のがんという概念)
以前も一度 高濃度乳腺、つまり乳腺の濃度が高い方は乳がんに罹患しやすい、リスクの高い方である、という話をしましたが、最新のデータとしてJAMAという雑誌に、皆さんは意外と高濃度乳腺そのものががんのリスクであることを知らない、という事実が発表されていたのでここで紹介したいと思います。
それぞれリンクを貼っておきますので、そちらもぜひ目を通していただければ幸いです。
まず米国では州によって違いはありますが、ほとんどの州で乳腺の検診を受けられた女性に、乳腺の密度(濃度)を知らせることが法律で決められています。これはたとえば密度が高ければ高い女性であるほど、マンモグラフィ検診で乳がんを見つけることが難しくなるからです。
別の言い方をすれば、乳腺密度が高い方は、マンモグラフィ検診を受けて”異常なし”と診断されても、安心はできないということになります。これは”見落とし”とは異なります。砂浜で石を探すことと、河原で石を探すことの違いです。もともと見えない検査で見えないものを探している結果です。
ですので、乳腺密度の高い方は検診を受けても乳がんが見つかりにくい。これは事実です。
ただ乳腺の密度が高い女性は、もちろん乳腺が”多い”ことになるので、乳腺に発生する乳がんのリスクもまた高くなる。これは検査が難しいこととは別の問題です。乳腺密度が高い方は、乳がんに罹患するリスクも高く、それでいながらその乳がんをマンモグラフィ検診で見つけることもまた難しい、このことを見落としている、あるいは知らない方は多いことがわかりました。
調査を完了した 2306 人の女性のうち、
1,706 人の女性 (93%) が、家族に乳がんの方がおられることの方が、乳腺密度が高いことよりも乳がんリスクは高い、と見なし、1,188 人 (65%) が過体重または肥満であることが乳腺密度が高いことよりも大きなリスクである、と感じていました。
子供を産まない ことの方が、乳腺密度が高いことよりも乳がんのリスクは高いと考えている人は(957 [52%])、1 日に 1 杯以上のアルコール飲料を飲む (975 [53%])、以前に乳房生検を受けたことがある (867 [48%])人は、乳腺密度が高いことよりも乳がんのリスクは高いと考えていました。
過去にも同様の結果が出ています。多くの女性が、乳腺密度が乳癌リスクに与える影響について依然として過小評価していました。
このようにジャーナル JAMA Network Open で発表された調査によると、参加した女性のうち、大多数が家族歴よりも乳房密度を重要な危険因子と見なしていませんでした。
しかし、研究によると、脂肪組織が最小限であることを特徴とする非常に密度の高い乳房を持つ女性は、乳房密度が最も低い女性よりも乳がんのリスクが 4 倍高くなります。(”きわめて高濃度”と記載されている方がそれにあたります。)
マンモグラムを受ける女性の約 10% は、このレベルの乳房密度を持っています。
対照的に、母親、姉妹、または娘が乳がんを患っていた場合、乳がんのリスクは 2 倍になります。
研究によると、かなりの量の高密度乳房組織を持っているが、極端な程度ではない女性 ( マンモグラムを受ける女性の約 40%) は 、平均的な乳房密度を持つ女性と比較して、乳がんのリスクが 20% 高くなります。(”不均一高濃度”と記載されている方です。)
まとめると乳腺の密度は2つの点で重要です。
乳腺の密度が高いこと=乳腺の量が多い=乳がんに罹患するリスクが高いことにつながります。
乳腺の密度が高いこと=マンモグラフィで乳がんを見つけることが難しい
日本ではまだ検診を受ける女性に乳腺密度を知らせることが義務化されていません。
マンモグラフィ検診を受けた際にはご自身で気を付けて、ご自身の乳腺密度を知っておくことが重要になります。ブレストアウェアネスの考え方です。
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